健康なんでも相談室

眼瞼下垂と縮瞳-ホルネル症候群-

回答者:  国立療養所西鳥取病院副院長 下田光太郎

質問

56歳 男性。10年前脳出血による右半身麻痺を起こしましたが、幸いに何不自由ないまでに快復しました。血圧は150-160 前後で今も服薬しています。10日程前ものがぼけて見え、眼科に受診しましたが疲れ眼と言われました。その2日後、はっきりと視力が落ち、内科に受診、左まぶたが下垂して瞳孔にまでかかり、その瞳孔も右に比べ拡大し、まぶたも右は一重なのに左は二重になっており、ホルネル症候群だと言われました。どういう病気でしょうか。もと通りによくなるでしょうか。

回答

お手紙の眼症状から推察すると瞳孔にまでかかるような眼瞼下垂と散瞳は動眼神経麻痺に見られる1つの徴候です。ホルネル症候群は眼の交感神経の麻痺により起こり瞼裂の狭小と縮瞳、眼球陥入が起こります。また逆ホルネル症候群は同じ交感神経の刺激状態で起こり瞼裂の開大と散瞳、眼球突出が起こります。この際症状の程度は軽く、動眼神経麻痺によるものの方が強いのが一般的です。さらに動眼神経麻痺ではその他に眼球の運動障害を伴うことがあります。これらは障害されている部位、原因等によりその症状の程度は様々ですし、他の神経徴候を伴うことがあります。

何れも頭部、頚部、胸部の病変(脳動脈瘤、血管閉塞、腫瘍、炎症、外傷等)さらに糖尿病や様々の内科的疾患でもひき起こされます。従ってその治療はそれぞれ異なりますし、その回復も原因疾患と程度により異なります。文面からだけでは結論的なことは言えないので専門(神経内科、脳外科、神経眼科等)の先生によく見てもらいはっきりした原因を調べてもらわれる事をおすすめします。