健康なんでも相談室

眼瞼けいれんのボツリヌス治療-注射部位を主治医と相談してみては-

回答者:  鳥取赤十字病院神経内科部長 太田規世司

質問

62歳女性。約4年前より「眼瞼けいれん」の症状があり、近くの病院の神経内科に通院しています。最近開発され資格を持った医師のみが打つ「ボトックス」の注射を数回うけましたが、あまり効果はみられませんでした。眼瞼けいれんに対して一番の治療法はこの「ボトックス」注射でありますが、他の治療法は何かないのでしょうか。効果のある良い施策はありませんか。

回答

「眼瞼けいれん」はMeige(メージュ)症候群とも呼ばれる顔面筋の不随意運動の一種で、その原因はよくわかっていません。好発年齢は50~60歳代で、女性にやや多い傾向があります。軽い場合は両側性の眼輪筋のまばたきの増加ではじまりますが、他の顔面や頚部の筋肉にも症状が広がることがあります。

本疾患の治療法には、①薬物療法②ボツリヌスA毒素の局所注射③手術療法④心理療法・自立訓練法などがあり、それぞれ一長一短です。質問にある「ボトックス」注射が②にあたります。現時点では①と②を主体に治療するのがよいと考えますので、具体的には薬物で効果が不十分であったり副作用に困るような場合には②を考慮すべきでしょう。

質問では薬物療法を試みられたかどうかが不明ですが、もしまだでしたら一度試してみる価値はあります。トリヘキシフェニジール(アーテン)、クロナゼパム、ハロペリドールなどが用いられます。ボツリヌス注射はけいれんのある局所の筋肉に何カ所かに分けて筋肉を麻痺させる毒素を注射する方法で、3~4ケ月に1回の注射が必要です。90%近い有効率ですが、注射の場所や薬の量によって効果に差が出ます。一度の注射ですべての症状がとれるわけではなく、主治医と相談しながら注射部位を変えてみられることをお勧めします。