健康なんでも相談室

痔核の手術適応と術式

回答者:  鳥取県立中央病院外科医長 清水 哲

質問

60歳、男性。25歳ごろ痔瘻の手術を受け、40歳ごろから内痔核2度と脱肛のための分泌物による掻痒感があります。現在、内痔核は3度、脱肛は続き、会陰部から肛門にかけての分泌物多く、ここ数カ月痒みもひどくなりました。手術を受けるべきでしょうか。手術も以前よりは簡単になったと聞きますが、また自動吻合器による手術のできる病院がありますか。

回答

痔核は多くの成人が多少とも悩まされることのあるポピュラーな疾患ですが、基本的に自分自身で病変部を観察することは困難であり、直腸癌をはじめ痔核に類似した症状を有する疾患もあるため、痛みや出血などに気付けば、まず医師の診察を受けることが大切です。ご相談の方は、過去に痔瘻の手術を受けておられますが、痔核とは全く別の疾患であり、痔瘻の再発も考慮しておく必要があります。痔核には比較的軽症の第1度や第2度、肛門外へ脱出した痔核が押し込まなければもどらない第3度、常に脱出している第4度があり第4度の痔核は手術が適当です。

この方の場合、経過が長く症状も強いようですから手術治療が必要でしょう。痔核に対する手術は様々な改良が加えられて今日に至っており、経過も良いのが一般的です。自動吻合器による痔核手術は1998年にイタリアのLongo 先生が発表された手術で、本邦でも昨年よりいくつかの施設で始まっていて、この手術を受けることは可能です。