健康なんでも相談室

生活習慣改善や薬物療法重要

回答者:  鳥取県東部医師会員 吉田泰之

質問

46歳女性。5か月前に心筋梗塞でステントを1箇所留置しました。3か月後のカテーテル検査で少し狭窄があるが大丈夫と診断され、朝晩の薬だけで1か月に1回の受診で血圧だけ測っています。今後狭窄が進み、また心筋梗塞を起こすのではと不安です。他に持病はなく、血圧も正常です。

回答

心筋梗塞の再発防ぐ

治療後の狭窄(再狭窄)は、拡張した冠動脈の内側の膜が厚く盛り上がってくることによって起こります。治療の進歩により以前より格段に少なくなってきました。治療直後よりはいくらか狭くはなりますが、やがて進行しなくなります。再狭窄で心筋梗塞をおこすことは稀です。おそらくもう一度心臓カテーテル検査が予定されると思いますが、これを見極めるためです。再狭窄が高度であれば再治療を行います。また留置したステントは金属で出来ています。時間がたって薄皮がはって冠動脈の一部になってしまうまでの期間は、血液の固まり(血栓)が着いて詰まる可能性があります。ステント血栓症と呼び、心筋梗塞を起こすことがあります。血液を凝固させる血小板の力を弱めるお薬(抗血小板薬)の強めのもの(プラビックスやパナルジン)をきちんと処方どおり内服する必要があります。ステントの種類や治療により、半年から1年程度のことが多いですが、ずっと続けることもあります。

このように1年程度経過すれば治療した所は落ち着きますが、新たな病変が出来ることを予防することが重要です。高血圧、脂質代謝異常、糖尿病、肥満、喫煙などの危険因子を取り除くため、生活習慣の改善や薬物療法が重要です。抗血小板薬のアスピリン(バイアスピリンやバファリン)は、可能な限り継続することが望ましいとされています。