健康なんでも相談室

特発性気胸の治療、特に再発の場合-手術侵襲の少ない胸腔鏡下手術-

回答者:  鳥取県立中央病院呼吸器・心臓血管外科 山家 武

質問

23歳 男性。昨年私は急に胸が苦しく、呼吸がしにくくなって受診し、特発性気胸とされました。そのときは、漏れた空気を抜いてもらってよくなりました。
しかし、今度再発したら手術で根本的に治療した方がよいといわれました。
再発はあるのでしょうか。手術は心配ないものでしょうか。

回答

特発性気胸(自然気胸とも言う)は、20歳前後の若い方と60歳前後の年配の方に多くみられる病気です。
肺を被っている胸膜の直下にブラと呼ばれる小さな袋ができ、その袋が破れることにより空気が胸腔内にたまり、その結果肺が縮み、胸痛や咳や息苦しさなどの症状をきたす病気です。

治療としては、あなたが受けられましたように、漏れた空気を抜く治療(管を胸腔内に入れ持続的に吸引する胸腔ドレナージという方法と胸腔内に針を差し空気を抜く胸腔穿刺といわれる方法の二通りがあります)が行われます。この処置により肺は膨らみ治癒するわけですが、残念ながら、この治療によっては30~40%の方が再発を起こしてきます。

再発の場合、そして初回でも胸腔ドレナージが長引く場合は、一般的には根本的な治療を考えて手術を薦めています。手術は、最近では、胸腔鏡下手術といわれる方法で行います。即ち、全身麻酔のもとで約2・の皮膚切開を2~3カ所おき、胸腔鏡を用いて手術操作を行います。

これまでのように、5~15・の皮膚切開をおいた開胸手術とくらべ、手術侵襲は少なく、術後の痛みも少なく、患者さんには負担が少なくなっています。

しかし、すべての患者さんがこの胸腔鏡下による方法で手術ができるとはいえません。そのためには肺のCT(コンピュータ断層撮影)検査を行い肺の症状を知ることにより、胸腔鏡下手術が適当かどうか判断できます。

あなたにとっていかなる治療がより良いのかは、担当の医師と良くご相談なさって下さい。