健康なんでも相談室

混合性結合組織病の症状と治療-日常生活における留意点について-

回答者:  鳥取大学医学部附属病院 清水英治

質問

48歳 女性。去年の秋頃から、左手指先1本が白くなり、診察してもらったら、混合性結合組織病と診断されました。ステロイド薬を投与したり、利尿剤も服用しましたが効果は無く、ビタミンE剤のみ服用しています。最近は指先が白くなることは少なくなりましたが、手の指、足の甲が腫れています。手はしびれて痛み、こわばりもあり、ジャンケンのグーができません。両肩関節も痛み、横を向いて寝ることが出来ません。3年くらい前から、首の付け根、後ろ側が痛みます。生理周期もバラバラです。体中の力が抜けていくような気がして、夕食づくりをしているとき、10~15分位横になることもあります。血液検査は正常とのこと。秋頃に比べて体重は8㎏も減っています。これから先、どのような症状が出るでしょうか。手の痛みや、こわばりを取り除く運動や薬があれば教えてください。

回答

混合性結合組織病は、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎の症状が混在する特定疾患です。自分自身の成分に対して免疫応答を起こしてしまう自己免疫疾患で、全国で約7000人の患者様がいるものと考えられています。既に寒冷刺激や精神的緊張により血管が一時的に細くなり、指先が白くなるレイノー現象がみられます。手指・足背の腫れや、皮膚の硬化、関節の痛みもみられるようですね。

間質性肺炎、食道運動機能の低下、胸膜炎、腎症状(蛋白尿や血尿など)、肺高血圧症、三叉神経障害などが今後出現する可能性があります。自覚症状として、間質性肺炎では空咳や息切れがでることがあり、食道の運動機能が低下すると胸焼けや食物(特に固形物)を飲み込みにくくなります。肺高血圧症の自覚症状として動悸、労作時息切れ、胸の痛みがあります。三叉神経障害では顔の神経を支配する三叉神経が障害され、顔の一部がピリピリします。イブプロフェンなどの鎮痛薬を使用すると、髄膜炎を誘発することがありますので、イブプロフェン等を含有する鎮痛薬には注意してください。

混合性結合組織病の治療は症状や重症度に応じ、ステロイドを中心とする薬物療法が基本です。ステロイドの効果が充分でない場合、免疫抑制薬を併用することがあります。レイノー現象の治療薬は確立していないので、保温や禁煙が第一です。たばこのニコチンは血管を収縮させて症状を悪くします。症状がひどい場合には血管拡張薬が用いられます。血行を改善するためにも適度な運動は必要ですが。関節が腫れて熱をもっている場合にはその関節を安静にしてください。症状に適した歩行距離・時間の訓練計画が重要です。運動時には保温、靴やストッキングの清潔、靴ズレの予防や局所的な圧迫の回避、深爪をしない、などにも留意が必要です。極度の上下肢の屈曲は血行障害を悪化させるので注意し、過労を避け心身両面のリラクゼーションを計ってください。  体重の減少がみられることから、かかりつけの先生に相談し、必要があれば専門医に紹介してもらってはいかがでしょうか。