健康なんでも相談室

水イボ論争-取るべきか?取らざるべきか?-

回答者:  回答者:鳥取大学医学部皮膚科講師 葉狩良孝

質問

子供の水イボに対し、ある医院で「水イボの菌は特に悪さをする訳ではなく、水イボ自体も痛くもかゆくもなく、治療をしなくても自然に治る。特効薬はないので無理に痛い思いをしてまで取らなくてもよい」と言われました。しかし別の医院では治療を勧められます。はたして水イボは治療するべきなのでしょうか。

回答

水イボとは水イボウイルスの感染による柔らかいイボで、アトピー体質を持つ小児を中心に感染し、プールなどで伝染します。御質問にあるように水イボは自然に治りますが、それに要する期間は約6カ月と言われています。御質問の内容は、実は20年以上前からある論争です。現在は水イボを治療するという立場の医師が多いようですが、完全には結論が出ていないのも事実です。水イボを放置するという考えの根拠は御質問の内容に代表されます。

一方治療する根拠は、1)治るのに半年以上かかり、いつ治るか予測できない、2)この間に水イボが増加したり、他人へ伝染する、3)水イボのある子供はプール禁止などの制約をうけがちである、4)水イボの周囲には湿疹反応が生じ痒みを訴える(必ずしも無症状ではない)、5)アトピー性皮膚炎などの湿疹を併発していることが多く湿疹治療の妨げになる、などです。

このような論争をもたらしたのは、従来の水イボ治療が、子供を押さえつけてイボをむしり取るというかなりの苦痛を伴うものであったからでしょう。現在では、薬品を使って穏やかに治療することが可能となっています。回答者の立場からは、長期間水イボを持った状態でいるよりも早めに治療をすることをお勧めします。どちらか一方の考え方だけに固執するのではなく、仮に放っておくにしても、治る傾向がなかったり増えてきたときには治療をするという柔軟な対応がよいと思います。