健康なんでも相談室

機能性胃腸症-症状続けば大腸の検査も-

回答者:  鳥取県医師会理事 吉中正人

質問

50歳代の女性です。「食後に胃がもたれ、時々痛む」症状が続きますので、胃内視鏡検査を受けました。軽度のビラン性変化、胆汁の逆流、胃体部の粘膜のヒダの軽度腫脹(腫れ)があると説明を受けましたが、潰瘍やがんは無く、「慢性胃炎」と診断されました。胃粘膜を保護する薬を処方されましたが、症状の改善が得られません。診断間違いではないでしょうか。悩んでおります。

回答

内視鏡検査の所見が詳細に説明されていますので、食道、胃を中心に器質的疾患は無いと判断できると思います。病気は、器質的疾患と機能的疾患に分類することが出来ます。前者は、がん、潰瘍等であり、後者は消化管の運動機能不全に伴い、食物等のスムースな輸送が障害されるために起こる病態で、上腹部を中心とした機能性ディスペプシア(消化不良)と、下腹部を中心とした過敏性腸症候群に分けて考えられていますが、学会の基準(ローマ基準Ⅲ)では、機能性消化管障害として一連の症候群と捉えられています。食物は口より入り、肛門で排泄されますので前述した如く、消化管の運動機能障害(低下、亢進)が生じますと、腹痛、膨満感といった症状として現れることになります。従ってまず胃腸の運動、働きを促す薬等を中心に経過をみることになりますが、この方の場合、下部大腸の器質的疾患が除外診断されていませんので、今後症状が続けば、大腸の検査を受ける事をお薦めします。

なお、腰痛等に際して、筋弛緩剤が投薬されますと、それが原因で医原性の消化管運動機能低下を起こすことがありますので、他の医療機関の投薬内容をチェックする必要もあります。

一般的な助言になりますが、ストレスを避け、規則正しい腹八分目の食生活、朝食後必ず排便する習慣を心掛けることが大事です。症状が続けば、再度消化器内科にご相談される事をお薦めします。