健康なんでも相談室

本態性高血圧症とホルモンのかかわり

回答者:  鳥取県医師会理事 安部喬樹

質問

65歳、女性。45歳頃から血圧が上がり、現在も通院加療中ですが、先日先生がご講演されました本態性高血圧症とホルモンのかかわりについて、ご質問いたします。特に、どのようなホルモンが血圧を上げるのでしょうか、お尋ねします。

回答

-本態性高血圧症に内分泌学的アプローチ必要-

血圧を上昇させる因子には、Na貯留因子と血管収縮因子があります。ホルモンの中で前者の作用のあるものに、副腎皮質で産生されるアルドステロンというホルモンがあります。また、後者の作用を有するホルモンには、副腎髄質で産生されるカテコラミンと呼ばれるホルモンがあります。そして、これらのホルモンが増加すれば、血圧は上昇いたします。このように特定のホルモンの増加による高血圧症が内分泌性(ホルモン性)高血圧症といわれるものです。しかしながら、今問題にしています本態性高血圧症と、この内分泌性高血圧症は、現在のところ異なるものと考えられています。

今でも一般に原因不明とされています本態性高血圧症の発症にホルモン的因子がどのような形でかかわっているのかを問題にしたのが、先日の講演内容でした。今後、内分泌学的アプローチが循環器学など他の分野の研究と結合することにより本態性高血圧症の病態解明につながるものと思っています。