健康なんでも相談室

早期発見が大切な正常眼圧緑内障-生涯の治療・管理が必要-

回答者:  鳥取赤十字病院眼科部長 恩田健史

質問

55歳 女性。昨年ドックで緑内障の疑いありとされ、眼科に受診しました。眼圧は正常だが、少し黒い影があり、緑内障家系ゆえ、まず間違いないだろうと言われました。点眼薬と眼圧降下薬を朝夕内服していますが、一生続けるよう指導されています。眼圧正常でものみ続けていいものでしょうか。私は更年期障害のため時々精神安定剤を服用していますが、併用の害はないでしょうか。

回答

緑内障には、大きくわけて2つのタイプがあります。1つは突然視力が低下して、激しい眼痛や頭痛をきたすもの。もう1つは自覚症状がほとんどなく、非常にゆっくりと進行して、徐々に視野が狭くなっていくものです。前者は眼圧が非常に高く、多くは急ぎ手術を要しますが、後者の眼圧は軽度の上昇かあるいは正常のことがほとんどです。相談者の場合もこのタイプと思われます。眼圧が正常でも視野の狭窄がおこってくるので、正常眼圧緑内障とも呼ばれています。

自分で異常に気づいた時には手遅れに近い状態まで進行していることが多く、早期発見の目的で最近では健診や人間ドックの項目にも組み込まれることが多くなりました。いったん狭くなった視野は、どんなに治療しても元に戻ることはないので、たとえ眼圧が正常範囲内でも、緑内障の進行をすこしでも遅らせるために普通は目薬を使います。一生使い続けることも稀ではありません。

進行の程度によっては同じ目的で飲み薬も使われることがあります。

目薬にもいくつかの種類があるので、定期的に眼圧や眼底、視野などの検査をしながら、その人に合った目薬を決めていきます。緑内障の目薬や飲み薬は、人によっては少し副作用をきたすこともありますが、定期検査の際にはその有無も調べますので、あまり心配は要りません。またこのタイプの緑内障は、精神安定剤によって眼圧が上がるということはありません。遺伝的な傾向はややみられますが、はっきりと遺伝するというほどのものではありませんので、そんなに気になさらなくてもよいでしょう。