健康なんでも相談室

手の関節のしびれや痛み

回答者:  鳥取市立病院神経内科医長 武久 康

質問

51歳の女性。半年前から両手・両指の関節がだるく、腫れぼったい、しびれに似た感じがします。朝起きてから夜寝るまで仕事をしている時以外大変気になり、近所の病院で血液検査を受けましたが、異常ないと言われました。けれど、私の体は何か変です。8か月前から、生理がありません。

回答

まず、慢性関節リウマチ、高尿酸血症(痛風)という病気が考えられます。これらは恐らく近所の病院を受診され血液検査を受けられたとのことですので、その際に検査を受けたと思われます。朝、手がこわばって腫れたような感じがされるのであれば、この症状を朝のこわばりといい、慢性関節リウマチをはじめ多くの膠原病に見られる特有の症状です。慢性関節リウマチは膠原病疾患で30-40歳の女性に多く(男女比1:4)、朝手足がこわばったり、手足の種々の関節が痛む病気で、ひどくなると変形してきます。リウマチ因子・抗核抗体・赤沈等の血液検査や、手足のレントゲンで診断され主に整形外科にて治療が行われています。高尿酸血症(痛風)は30-60歳の男性に多く(95%が男性)、プリン体代謝異常による疾患で、尿酸ナトリウム結晶が皮下および関節に沈着する病気で、かなりの痛みを伴いますので今回の症状とはすこし異なるかもしれません。また同様の症状を示す病気に、ピロ燐酸カルシウム結晶が手足の関節に沈着する偽痛風があり、手・足のレントゲンを撮ることで診断でき主に整形外科で扱う疾患です。さらに、甲状腺ホルモンの分泌が低下した際に手足が腫れてきて良く似た症状が出現することもあります。

また、手先が真白になり、血液のめぐりが悪くなる症状があれば、これをレイノー現象といい、強皮症(PSS)、全身性ループスエリテマトーデス(SLE)等の膠原病にみられる症状です。さらに手指の手の甲側に赤い皮疹がみられる場合、ゴットロン徴候といい、膠原病の中の多発筋炎・皮膚筋炎に見られる症状で、筋肉痛および筋力低下を伴うことが多いです。

これらの検査で異常が見つからない場合は、閉経後に女性ホルモンの分泌が低下し、のぼせ・顔のほてりとかの種々の症状が起きる更年期障害も考えられます。この病気は婦人科にてホルモン療法等の治療を受けることにより症状は軽減します。

さらに、良く手首等をよく使われるのであれば、親指の症状がないので典型的ではありませんが、手根管症候群といい、神経が手首の手根管という輪で圧迫されてしびれが生じる病気が考えられます。これは、神経内科および整形外科で詳しい検査を受けないと診断できません。

いずれにせよ、一度総合病院を受診され詳しい検査を受けることをお勧めします。