健康なんでも相談室

慢性肺気腫 体動時に起こる息切れ

回答者:  藤井政雄記念病院長 星野映治

質問

53才男性。20才頃からたばこをすっています。最近たんがよく出 て耳鼻咽喉科に通院しています。胸部撮影の結果肺気腫といわれました。どう いう病気なのでしょうか。手当を受ければよくなるのでしょうか。

回答

33年間たばこをすっておられるとのことで、一日の本数はわかりま せんが、長年の間に「慢性肺気腫」と「たん」が生じても不思議ではありませ ん。慢性肺気腫は、肺胞が壊れて、肺が全体に大きくなった状態です。通常、 肺胞は、直径0.3ミリメ-トル、約3億個あり、肺の容積は2~3リットル です。たばこの煙に含まれる毒性物質は2000種類とも言われ、その中で、 プロテア-ゼがタンパク質を傷害します。長年の喫煙により、肺胞が破壊さ れ、肺が大きくなった状態が慢性肺気腫です。胸部エックス線では、肺の部分 が大きく、横隔膜が平たく下がって写るため、肺の過膨張と表現され、慢性肺 気腫を疑うことができます。典型的な症状は、歩くなど体動時に息切れが生 じ、安静時には呼吸困難がないことです。

慢性肺気腫およびそれにともなう体 動時の息切れに対する治療薬はありませんが、禁煙が有効で、悪化の速度を小 さく戻すことが出来ます。最近は、外科的に肺の一部を切除して肺の容積を減 らす治療法も行われますが、すべての患者さんが対象というわけではありませ ん。低酸素血症があれば、酸素療法が必要となります。