健康なんでも相談室

怠けものと呼ばないで 低血圧症

回答者:  鳥取県医師会監事 岸田剛一

質問

21歳の女性。事務員です。虚弱体質で、いつもスタミナ不足を覚えます。最近仕事が多忙で、過労気味です。めまいや立ちくらみ、肩こりや頭痛があり、仕事に集中できません。同僚より怠け者に見られていないか心配です。3か月後に結婚を控え、家事と仕事の両立ができるか不安です。健康診断ではいつも低血圧を指摘されます。どうしたらよいでしょうか。

回答

結婚を控え、ご心配のことでしょう。低血圧症とは、収縮期血圧100mmHg以下を言い、拡張期血圧は問題としません。低血圧自体は予後がよく長寿傾向を示します。出現頻度は2~7%で、20~30歳の女性に多いとされています。日常生活に支障がない場合は体質性低血圧として、特に治療は必要としません。日常生活に支障がある低血圧症は病的低血圧として、三つに分類されます。

①本態性低血圧症;原因が不明で、体位に関係なく低血圧を示し、多彩な症状を伴います。やせ型で無気力体質の人に症状を有する人が多いようです。

②症候性低血圧症;神経疾患、心血管疾患、内分泌・代謝疾患等の疾患によるものと、薬剤によるものとがあります。

③起立性低血圧症;臥位、坐位から立位になる時に、血圧が収縮期20mmHg以上、または拡張期10mmHg以上下がるものをいいます。一般に心拍出量低下に基づくものと、自律神経障害によるものとに分けられます。前者では反射が維持されていますので、血圧低下は心拍数増加を伴います。後者は心拍数増加を認めません。それゆえ、起立時に血圧とともに心拍数をみることが大切です。小児科領域で問題となる起立性調節障害や食後低血圧も含みます。

一般療法としては、規則的な生活習慣、特に、7~8時間の睡眠、高食塩(1日15~20g)や高蛋白の食事療法、適度の運動療法を行いましょう

ご理解していただいたと思いますが、低血圧は様々な要因により起こり、時に重篤な疾患が原因となっている可能性があります。一度循環器専門医への受診をお勧めします。専門医の説明があれば安心して結婚生活に入れると思いますから。