健康なんでも相談室

思春期にみられる体の変調-成長過程を理解し見守って-

回答者:  鳥取県医師会理事 吉田眞人

質問

中学1年生の男子です。最近腹痛を訴え、朝起きも悪く、学校も休みがちです。何か重大な胃腸の病気でもあるのではと心配です。

回答

小学生のときは、何事もなく元気に育った子供さんが、中学生になった頃から変調を示すため、両親が大変心配されるケースが時々あります。この年齢では、成人のような胃腸の重大な病気が出ることは考えにくいと思われます。

ポイントは、この子供さんが思春期、成長期にあることです。この時期、体内のホルモンも変化が出て身長も伸び、身体つきに変化がみられるはずです。立ちくらみやめまいがあったり、朝起きが悪く食欲がない、乗り物酔いしやすいとか、頭痛もあったりすれば起立性調節障害(10歳頃より多くなる自律神経失調症のひとつ)と考えられます。

自律神経は脳から出ていて、交感神経(主に身体を緊張させる働き)と、副交感神経(主に身体をリラックスさせる働き)に分かれて全身に分布し、人間の身体が健康に働くよう全身各所に信号を送る大切な役割を持っています。胃や腸もこの自律神経がバランスよく働き、食物を消化吸収し、排便まで行っています。

思春期には胃や腸の働きが不安定となりやすく、必要以上に過剰に働けば、腹痛や下痢を生じ、弱すぎると便秘やはきけを生じます。ご両親としては、思春期の身体の特徴を十分理解してあげ、胃や腸の働きを助ける薬で、必要な治療をしながら成長を見守ってあげましょう。高校の高学年になる頃には落ち着くはずです。