健康なんでも相談室

尿潜血陽性―尿路上皮出血有無の検査を-

回答者:  鳥取大学医学部腎泌尿器学教授 宮川征男

質問

55歳、女性です。昨年秋、人間ドックを受けましたところ、「尿蛋白(-)、尿潜血(+)。要精密検査」との結果をもらいました。友人に相談したところ、それ程度は歳のためだから心配しなくてよいと言われました。迷っています。どうしたらよいのでしょう。お教えください。

回答

尿潜血(+)で泌尿器系の病気の存在が見つかることは少ないのですが、膀胱腫瘍など見逃せない病気の可能性が無いとは言えません。一度専門医で調べてもらわれてはいかがでしょう。これがお答えですが、簡単に解説します。

ご存知かも知れませんが、尿は血液が腎臓で濾(こ)されてできますから、正常でもある程度赤血球を含んでいます。これとは別に尿管、膀胱など尿の通り路の出血による赤血球が含まれことがあり、この原因の中に、膀胱腫瘍や腎臓腫瘍など見逃してはいけない疾患が含まれます。

尿検査で最初から尿中赤血球数が分かればよいのですが、簡単ではないため、テステープで調べます。テステープはヘモグロビンのペルオキシダーゼ様反応の強さを示し、この結果が尿中赤血球数と大まかに相関するとされています。尿潜血陽性ということは、尿中赤血球が増えている(血尿)可能性を示唆しますが、服用中の薬剤などでも陽性になることがあり、確実に血尿というわけではではありません

ご相談のような、尿蛋白(-)・尿潜血(+)の人が受診された場合、われわれは尿中赤血球の数と大きさを調べるとともに、超音波検査で腎臓から膀胱までの異常の有無をスクリーニングします。これにより、尿路上皮からの出血はないと判定されれば、「精密検査の結果、異常なし」と結論します。尿路上皮よりの出血ありと判定されれば精査を進めますが、そういう人の中にごくまれに膀胱腫瘍などが見つかります。

苦痛のない簡単な検査で尿路上皮よりの出血が判定できます。迷っているより、検査を受けられることをお勧めします。