健康なんでも相談室

尿潜血反応が陽性に-無症状でも軽視できず

回答者:  鳥取県立厚生病院泌尿器科医長 村岡邦康

質問

60歳女性。毎年人間ドックを受けていますが、今回尿潜血反応陽性(3+)でした。2ヵ月後に検査しましたが変わりませんでした。症状はないのですが、このまま様子を見ていいでしょうか。

回答

尿潜血反応は血尿のスクリーニング検査であり、陽性が出た場合は尿中赤血球数算定のための確認試験が必要です。検診での尿潜血陽性反応の頻度は、男性で約4%、女性で約13%であり、加齢とともに増加します。このうち、治療を要したり経過観察が必要な病変を有するのは顕微鏡的血尿(検査でわかる血尿)で約20%、肉眼的血尿(眼で見てわかる血尿)で約60%に認められます。

代表的な血尿の原因は、腎臓や尿路の炎症(急性糸球体腎炎、IgA腎症、腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎など)、尿路結石症(腎結石、尿管結石、膀胱結石など)、尿路腫瘍(腎癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌など)、あるいは出血性素因(血液の異常)や薬剤性(抗凝固薬や抗リウマチ薬など)などがあげられます。

尿潜血陽性の方には、まず、尿沈渣検査を行い尿中赤血球の数や形態(変形がないか)の観察とともに、腹部超音波検査で腎臓や膀胱の異常の有無、また、尿細胞診で腫瘍細胞の有無の確認を行います。必要に応じて、CTやレントゲン検査あるいは膀胱鏡検査を行います。

尿潜血陽性は無症状であっても軽視できません。かかりつけの先生に相談され精密検査を受けられることをお勧めします。