健康なんでも相談室

尿意切迫感を伴う冷え-自律神経失調症によることも多い-

回答者:  鳥取産院 村江正始

質問

60歳、女性。常に尿意があり、泌尿器科で診てもらいましたが異常はありませんでした。特に足首が冷えるので暖めてみましたが治りません。どうしたらよいでしょうか。

回答

冷えは各年代の女性に多くみられますが、更年期前後のホルモンに変化が生じる頃や、全身的な機能低下のため消化吸収能、筋力、循環機能が衰え、自律神経機能低下をきたす老年期にもよくみられます。末梢血管の血流停滞が主因となるため、自律神経失調症の部分症状として出現する場合や心因性の体感異常として出現する場合もあります。閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓血管炎、レイノー病、レイノー症候群、糖尿病性末梢血管障害、甲状腺機能低下症など内分泌疾患、慢性関節リウマチなど整形外科疾患、貧血などが原因の場合もあります。尿意切迫感は炎症、結石、腫瘍、神経症、神経疾患による膀胱・尿道への刺激や血尿、膿尿、薬剤による尿の成分異常によっておこり、泌尿器科で排尿障害のチェックを受ける必要があります。

この方の場合、泌尿器に異常がないので、内科、整形外科的な疾患が除外されれば婦人科的な場合も考えられます。その場合自律神経失調症による冷えと尿意切迫感を伴う萎縮性膣炎と考え、エストロゲン製剤によるホルモン補充療法が行われ有効なことが多いようです。検査で異常はないが症状がある場合には漢方療法が向いている場合もあります。尿路不定愁訴には清心蓮子飲、泌尿器系症状を合併した萎縮性膣炎には虚症なら八味地黄丸、牛車腎気丸などが処方されます。一度お近くの産婦人科の先生に相談されるのもよいと思います。