健康なんでも相談室

尋常性乾癬について

回答者:  鳥取市立病院皮膚科 江川尚男

質問

15年程前に尋常性乾癬という皮膚病に掛かり現在まで完治しません。症状としては、①頭にカサブタができる。②足首と脛(すね)の間にウロコ状のものが出る。③背中や大腿部(太モモ)、尻などの軟らかいところに斑点が出る。などで、何れも痒みを伴います。この他、額(ひたい)に湿疹が出ます。良い薬、治療法をお教え下さい。

回答

尋常性乾癬は基礎に遺伝的要因があり、二次的要因として内分泌・アレルギー・病巣感染・糖尿病・高脂肪食などの代謝障害・物理的刺激・日光などが引き金となり発症すると考えられています。欧米人に多いのも食生活によるものも少なくない事の裏づけとなります。貴方のように痒みが強く、引っ掻く(物理的刺激)事によって更なる皮疹の悪化を来している状態をケブネル現象と言います。

さて治療ですが、①外用療法(副腎皮質ステロイド外用剤、活性型ビタミンD3外用剤など)②全身療法(ビタミンA誘導体、免疫抑制剤、代謝拮抗剤など)③光線療法の3つが主体となります。軽症の場合①のみ、中等症~重症の場合は①②③の組み合わせといった具合に、症状に応じて治療法も変えていきます。貴方の場合は痒みによる悪化が考えられるので抗ヒスタミン剤、アレルギー剤といった止痒剤の内服の併用も有効かと思われます。特に慢性疾患の場合、治療が長期に及ぶことが多く、薬剤・治療法による副作用の危険性も考慮に入れなければならず、患者さんの速やかに治したいという希望に百%沿うのが困難な時が多々あることは御理解頂きたい所です。尋常性乾癬は決して治らない病気ではなく、前述の治療法で皮疹を軽快させることが十分に可能です。

但し、今回貴方が最も知りたい所の(一生再発しない)根治療法があるかと言うと、現在のところ満足のいく方法はありません。お叱りを受けるかも知れませんが、皮疹のほぼ軽快した状態を根治したと据え、前述の二次的悪化因子を避けつつ、もし再発してもまた治療を再開すれば良いといった具合に前向きに開き直ってみたらどうでしょうか。それによって効能のはっきりしないものに多額の出費をすることや、過剰なストレスによる乾癬自体の悪化、心身の衰弱を防ぐことができるのではないでしょうか。