健康なんでも相談室

対人恐怖と社会不安障害-心療内科受診お勧め-

回答者:  鳥取県医師会常任理事 渡辺 憲

質問

30歳台男性。最近、仕事上のストレスが続いていましたが、眠れなくなり、さらに、朝起きる際、動悸がひどく、冷や汗をかいていることもしばしばです。出勤も億劫で、出勤後も緊張が続いて会話もしづらい状況が続いています。もともと、小さい頃から人前で上がりやすい体質でした。どのような治療法があるでしょう?

回答

お話の内容から、うつ病(適応障害)と社会不安障害の二つの病気が推察されます。軽症のうつ病を適応障害と呼ぶこともあります。

まず、現在お困りの症状が最近の心身のストレス状況を背景に現れてきたことから、うつ病が考えられます。うつ病は現代病とも言われ、患う人も増えておりますが、不眠、気分不快、意欲低下が、頭痛・頭重感、食欲不振、動悸などの身体症状を伴って現れ、とくに朝方に症状が強いのが特徴です。意欲低下のため、職場では能率が極端に衰えてしまいます。

次に、ご相談の方は、幼少時より対人緊張が強い方だったようですが、出勤後の緊張の高まり、朝方の動悸、冷や汗などの交感神経系の過緊張状態から社会不安障害の傾向が推察され、上記のうつ病の病態と重なって、症状が強く現れていると考えられます。社会不安障害とは、人前で意見を発表したり等の特定の社会的場面で、強い不安と緊張、さらにこれに関連した赤面、動悸、冷や汗などの身体症状が出てしまう病気で、体質と密接に関連しています。

うつ病の新しい治療薬、SSRI(セロトニン神経系を賦活する抗うつ薬)の中に社会不安障害への高い有効性が認められているものもあり、一度、精神科、心療内科などの専門医への受診をお勧めします。