健康なんでも相談室

子供の「くせ」―トイレが近い―助けを求めるサインが隠されている

回答者:  東部医師会員 松浦順子

質問

3人兄姉の下で小学校1年の男子です。幾つか癖があり気になっています。一つはトイレが近く、就寝前に行っても5~10分すると再び行きます。また、爪を噛む癖と、咳払いを何度もする癖があります。本人のストレス、親の愛情不足や怒り過ぎかなどとも考えますが、原因としてはどのようなものが考えられますか。

回答

愛情をいっぱい注いで育てられた末のお子さんが小学生になり、学校での様子とか勉強とかいろいろと御心配も多いでしょう。

ご相談の内容から判断しますと、心因性頻尿といって、ストレスが原因となってトイレが近くなっているものと思われます。念のために、尿の検査を受けておいてください。また、咳払いみたいなくせはチックと考えられます。チックはいろいろなタイプがあり、瞬き、頭を振る、肩をぴくっとさせるなどの運動性チックと、鼻をすする、咳払い、奇声などの音声チックがあります。その誘因にも精神的ストレスが考えられます。

子供は心と身体の相関が強く、何らかの要因で心に緊張と不安や葛藤が生じると、身体症状や行動の問題が現われてきます。これを心身症といいます。このお子さんには、このような軽い心身症の症状が出ています。心身症には年齢による特徴があり、このお子さんのように幼児期後半から学童期にかけては爪かみ・心因性頻尿・チックの他周期性嘔吐症・起立調節障害が出てきやすいといわれています。また幼児期前半では夜驚症・憤怒けいれん、思春期では過換気症候群・神経性食思不振症などがあります。

小児の心身症は助けを求めるサインです。子供が抱えている緊張と不安を和らげるようにしましょう。小学校の先生に様子を聞くことも何かの参考になるでしょう。決して母親だけのせいではありません。ただ気をつけることとして、子供の行動にやたらに指示を出したり、禁止したりせず、がんばりを誉め失敗には理解を示し、決して困った表情や厳しい態度はとらず、根気強くやさしく子供に接してあげてください。