健康なんでも相談室

妊娠に気付いたら-定期健診受け安心なお産-

回答者:  鳥取県医師会監事 井庭信幸

質問

普段から月経不順で月経が来なくても気にしていなかったのですが、昨年、下腹部痛と出血があったので、婦人科で診察してもらったら流産だといわれショックでした。今年は元気な赤ちゃんを産みたいと思うのですが、尿で妊娠反応が陽性にでたら、どうしたらいいのでしょうか。

回答

最近は妊娠試薬が発売され、月経が来ない人や、妊娠かなと思う人は妊娠試薬で検査ができるようになりました。妊娠反応が陽性にでたら、まず産婦人科で診察を受けましょう。妊娠には正常妊娠と異常妊娠があります。正常妊娠とは子宮の中に妊娠している状態で、子宮以外のところで妊娠している場合は子宮外妊娠といい、手術(開腹・内視鏡などによる)を受けなければなりません。

子宮内の状態は超音波検査で胎盤の位置や、単胎・双子とか、胎児心拍・胎児発育の状態などが画面に映し出されますので先生と一緒に観察できます。お母さんも検査を受けます。胎児に影響を与えるような病気がないかどうかをチェックします。例えば糖尿病、高血圧症、腎臓病、感染症、その他の慢性疾患があるかないかを血液検査などで調べます。 正常妊娠と診断されると、妊婦さんは市役所で母子手帳と検診受診票を交付されます(医師の証明書がなくても可)。その後は定期的に妊婦検診を受け、元気な赤ちゃんを分娩するよう、先生や助産師・看護師より指導を受けます。公費での妊婦検診は今までは2回でしたが、今後5回ぐらいに増えそうです(市町村によって異なります)。妊婦検診回数は大体10~15回ぐらいです。妊婦検診を受ける事で「安全・安心なお産」が可能になります。また途中異常が見つかれば、早期に治療ができ、流産や早産を防ぐ事ができます。

最近は妊娠の知識が不十分で、妊娠と気付かずに腹痛や出血して救急車で運ばれますが、結果として流産する人が多い。調査では妊婦検診を受けていない人が多く、社会問題にもなっています。いわゆる「飛び込み分娩」は受ける側には必ずしも歓迎されません。その1つに妊婦の経過が全く解らないために、異常分娩になる事があり、2つは受け入れ中に妊婦検診を受けている妊婦の分娩が重なると、どちらにも十分な対応が出来なくなる可能性があるからです。元気な赤ちゃんを産むためには、妊娠あるいは妊娠したかなと思ったら、まず産婦人科を受診し、妊娠と診断されたら、定期的な妊婦検診を受けることが大切であると理解してください。