健康なんでも相談室

夜間頻尿

回答者:  鳥取大学医学部腎泌尿器学教授 宮川征男

質問

56歳、女性です。幼少の頃から多尿・頻尿でした。残尿感はありません。昼間は1時間半に1回、夜間は就寝時に2回通います。せめて、就寝時に1回にならないものでしょうか。

回答

夜間頻尿の問題は原因が複雑ですし、治療法も単純ではなく、難しいご相談です。

通常、正常な人は就寝中には排尿に起きることはないとされております。しかし、現実には、60歳台の男性の約50%、女性の約40%が2回以上トイレに起きますし、年齢が進めばもっと多くなります。

歳をとって夜中にトイレに行く回数が多くなる原因は色々ありますが、代表的なものは「夜間の尿量が増える(夜間多尿)」、「睡眠が浅くなり、目を覚ます度にトイレに行く(睡眠障害)」、「前立腺肥大症などのために膀胱が尿意に過敏になっており、少量の尿で尿意をかんじる(低膀胱容量)」の三つです。単純に1つの原因というのではなく、これらが組み合わさって夜間頻尿になるのでしょう。

診断には排尿日誌といって、1日の排尿についての調査表が大変有効です。例えば、お昼の12時から、翌日の12時までの24時間の間で、排尿をした時間と、その時のおおよその排尿量を記録するのです。就寝時間と起床時間も記録します。これにより1日の排尿量、夜間の排尿量、大体の膀胱容量などがわかり、夜間頻尿の理由を推測することができます。

質問状では、昼間にも1時間半に1回トイレにいくということですから、寝ている間ばかりでなく、起きている時も頻尿があります。これから推測すると、膀胱容量が少ないことが2回起きる主たる理由かもしれません。そうであるなら膀胱を大きくする訓練や薬剤により夜間頻尿を減少できるかも知れません。

泌尿器科には排尿日誌が置いてあると思いますので、それに記載して、医師にご相談ください。