健康なんでも相談室

変形性膝関節症-大切な膝の自己管理-

回答者:  鳥取県立中央病院 整形外科 鱸 俊朗

質問

70歳女性。 農業。最近左膝が痛くなり、仕事ができなくなった。安静時痛はないが、歩いたり、しゃがんだり、ひねったりすると、特に膝の内側が痛い。病院の薬を飲むのが嫌いで病院には行っていません。家で治す方法はありませんか?

回答

年齢、性、仕事の内容、症状からみて、変形性膝関節症と考えます。この病気は、関節軟骨の変性(老化)により関節内に炎症が生じ、時に水がたまったりします。症状が進むと、軟骨の消失、筋力の低下などが生じ膝の不安定を来たし、横揺れが生じ、更に痛みが強くなります。ご質問の中での症状から考えると、最近症状が出たこと、安静時痛がない、膝の内側に限局している、動作のはじめが痛いようなので、あなたの場合は、初期の変形性関節症と考えます。しかし女性であり、70歳であることより、骨粗しょう症もある可能性もあり、このことが、症状を悪化する原因ともなりますので、正確な診断、病態の把握のためには、整形外科の診察をお受けになることを是非お勧めします。

家で治す方法についてのご質問ですが、家で出来る事は自己管理しかありません。以下の四つの点に気をつけて生活すれば膝の痛みも楽になると思います。

1.膝の安静をはかり、炎症を抑える。痛みの強いときは椅子の生活をし、しゃがみこみ動作、正座は避けましょう。杖の使用を考え膝への負担を少なくしましょう。膝の曲げ伸ばしはお風呂などで浮力を利用して痛みの出ない範囲で行い、そのとき出来れば正座、しゃがみこみ動作の練習をしましょう。

2.膝の安定化を図る。大腿四頭筋(大腿部の前の筋肉で膝を伸ばす筋肉)および臀筋(でんきん=臀部外側の筋肉で股関節を外に開く筋肉)の筋力を落とさない、増強することが大切です。そのための方法としては図のような方法もありますが、全身運動ができるプールでの歩行、後ろ歩き、横歩きなどが、痛みを出さずできる良い方法だと思います。

3.膝は完全に伸びれば曲がる。膝が固まるのが心配で無理して痛みをこらえて曲げる練習をする人がいますが、これは逆効果となることがあります。膝関節はしっかり伸びれば曲がりも良いものです。しっかり伸びる膝は症状の悪化も少ないと思います。

4.膝の保温に気をつける。