健康なんでも相談室

増える大腸癌-早期に症状なく検診を-

回答者:  鳥取県医師会理事 米川正夫

質問

30代男性です。米子市の大腸癌検診で精密検査が必要だと言われました。とても、苦しい検査だと聞いていますが、どんな検査をするのでしょうか?また、必ず受けなければいけませんか?

回答

近年、日本人の大腸癌は明らかに増えています。30代の進行癌も珍しくありません。大腸癌の死亡率を下げるためには早期発見、早期治療が大切です。しかしながら、大腸癌は早期の間は自覚症状がほとんどありません。このため、症状のない人の中から早期癌を見つけるために大腸癌検診が始まりました。大腸癌健診を受けると大腸癌で亡くなる可能性を半分にすることが出来ることがわかりました。

検診では、便潜血反応検査(便の中に血がまじっていないかチェックする検査)をおこないます。もちろんこの検査で陽性だからと言って必ず大腸癌があるわけではありませんが大腸癌を否定するためにも精密検査は必ず受けて下さい。また、陰性だからといって絶対大腸癌が無いとは言えません。頑固な便秘が続く方、身内に大腸癌にかかった人がいる方も精密検査を受けた方がよいと思います。それから、便潜血反応が陽性だったのでもう一度便潜血検査をして陰性なら精密検査を受けない人がいますが、2度目の検査で陰性だからといって安心は出来ません。便潜血反応が陽性だった方は、必ず、精密検査を受けて下さい。

さて、精密検査ですが一番確実なのはやはり全大腸内視鏡検査(大腸全部を内視鏡で観察する検査)です。この方法だと進行癌はもちろん、早期癌やポリープも見つけることが出来ます。ところが全国的にみても全大腸内視鏡検査ができる医療機関は非常に少ないのが現状です。多くの医療機関では大腸の透視だけか、大腸の透視とS状結腸内視鏡検査(肛門から30センチくらいまでの内視鏡検査)を組み合わせ精密検査としているようです。このやり方では進行癌は見つかりますが早期癌やポリープは見つからないことがあります。また、大腸が重なっている直腸では進行癌でも診断できないことがあります。  最近大腸内視鏡検査では、なるべく空気を入れずに大腸を伸ばさず、ちぢめて挿入する方法が主流となってきています。上手な先生だとほとんど痛みを感ずることなくあっと言う間に検査は終了します。胃の内視鏡検査よりもずっと楽です。精密検査は消化器内視鏡学会や大腸肛門病学会の専門医の先生に検査してもらうことをおすすめします。