健康なんでも相談室

坐骨神経痛―腰椎の疾患が原因のこと多し―

回答者:  鳥取赤十字病院副院長 福島 明

質問

63歳 女性 2年程前から左膝から足首までが痛くなり、最近は左殿部から大腿まで痛みが広がっています。痛みが強い時はしゃがみ込むほどです。排尿に時間がかかることもあります。15年前に右腰を打って腰椎横突起骨折をしました。8年前には乳癌の手術をしています。これらの病気と関係がありますか。1年前に泌尿器科、婦人科、整形外科を受診しましたがはっきりした原因が判りませんでした。どうしたらいいでしょうか。

回答

この方のような殿部から大腿、下腿までの痛みは坐骨神経痛と診断されます。坐骨神経痛をおこすのは腰椎の疾患が大部分で、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎の炎症や腫瘍などです。また、下肢に血液を送る動脈の慢性閉塞症でも歩行時などに下肢の痛みが出ることがあります。今の痛みと15年前の骨折との関連は少ないものと思われます。

乳癌との関連については手術後、定期的に受診をされていれば問題ないと思われます。坐骨神経痛の治療は原因によって異なります。痛み止めの内服薬、坐薬、注射で楽にならない時や痛みが激しい時は入院治療が必要となります。強い痛みが続いたり下肢の筋力低下や排尿の障害がある場合は手術も考えられます。  いずれにせよ坐骨神経痛の原因をはっきりさせ適切な治療を受けることが重要です。早めにかかりつけの医療機関を受診し、場合によっては精密検査を受けられることをお勧めします。