健康なんでも相談室

口渇をきたす原因について

回答者:  東部医師会員 土居聡子

質問

80歳 女性。1年程前から口の中や舌が真っ白くがさがさになり、のどが腫れているようで、息苦しく、夜中に目覚めるようになりました。
そのため、口の中を洗ったり、うがいをしたり、声を出してみたりなどということをしています。朝食後は唾液が出て、少しよくなります。緑内障で通院しており、目薬の投薬をうけています。どのような原因が考えられますか。

回答

唾液分泌量が減少し口渇が持続する場合、原因については大きく三つに分けて考えます。一つめは口渇をきたす疾患が根底にある場合です。代表的疾患にシェ―グレン症候群という病気がまずあげられます。この病気は唾液腺の炎症による唾液の分泌障害をきたします。診断を確定するための検査として、自己免疫反応を調べる血液検査等の他に唾液量を測定するガムテスト、唾液腺造影などがあり、これは主に内科、耳鼻科にて行われます。診断が確定されれば疾患に対する治療と共に人工唾液により口の乾きを軽くすることもできます。また、基礎疾患に糖尿病がある場合にも口渇が出現しやすくなります。内科にて糖尿病の存在が確認されれば血糖コントロールを行い、少しずつ症状が和らぎます。その他、まれに内分泌疾患に伴い口渇があらわれることもあります。その場合には他にも特徴的な臨床所見も伴いますので必要に応じて検査が進められます。

内科、耳鼻科を受診の結果、これらの疾患が否定されますと次に考えるべき二つめはお薬の影響はどうかです。常用薬に『抗コリン作用』を有するものが含まれていた場合、副作用として唾液腺の分泌抑制をきたすことがあり、薬剤性の口渇が生じます。現在服用されているお薬にそのような可能性はないか調べていただく必要があります。そして、これらの関与がすべて除外された場合、心因性の口渇とみなす事もあります。夜間不安感が強くなるようであれば、軽い入眠導入剤を服用し夜間の熟睡をはかることで徐々に不安感を軽減させる方向で調整します。これらの原因を調べると同時に、唾液の分泌を促すためのマッサージや固いものをよく噛むといった日頃の心がけも大切かと思われます。現在かかりつけの先生によくご相談下さい。