健康なんでも相談室

反復する幼児の急性中耳炎―滲出性(しんしゅつせい)中耳炎への移行に注意―

回答者:  鳥取赤十字病院長耳鼻咽喉科 生駒尚秋

質問

29歳、女性。私の子どもは現在4歳ですが、2歳から急性中耳炎を繰り返しております。治りました、といわれた翌日にも急性中耳炎になったことがあります。将来、難聴になることはないのでしょうか。

回答

児の急性中耳炎は、耳を痛がる、両方の耳に生じる、反復する、という特徴があります。これは幼児の耳の構造と関係しております。耳管という鼻の奥と中耳の間にある管があります。この耳管は中耳に空気を送り込む働きがありますが、同時に急性中耳炎の菌の入る道にもなっています。

幼児の耳を横から見ますと、耳の位置と鼻の入口が同じ位置にあるのに気付かれるでしょう。幼児の耳管は、水平の位置にあるので、鼻やのどに炎症があると、両側の急性中耳炎になります。しかも繰り返しやすいということになります。小学校に入るころには、耳が高い位置になり、耳管が斜め上になりますので、急性中耳炎を生じることは、稀になります。

急性中耳炎は、完全に治れば難聴を残すことはありません。しかし、急性中耳炎を抗生剤で治療すると、滲出性中耳炎に移行することがあります。これは鼓膜の奥の中耳に水あめのような液が貯まるものです。耳の痛みはありませんので、聞こえが悪いということで気付くことがあります。滲出性中耳炎は、単独で生じることもあります。滲出性中耳炎は、ティンパノメトリーという器械で簡単に判定できます。滲出性中耳炎の治りが悪いと、鼓膜にチューブを挿入することが必要になることもあります。