健康なんでも相談室

反回神経麻痺

回答者:  鳥取県西部医師会員 辻田哲朗

質問

71才男性です。昨年左甲状腺の腫瘍摘出手術を受けました。直径5cmで良性でした。術後1年以上経ちますが、今でも食事中や就寝中に急に息が吸い込めなくなり、苦しい思いをします。かかりつけの耳鼻科では声帯の片方が麻痺していると言われました。声帯の麻痺は治るものなのか。息が出来なくなる事と関係があるのか。教えて下さい。

 

 

回答

 根気よく治療を

 

 左の声帯を動かす反回神経という神経の麻痺だと思います。この神経は甲状腺の近くを通っているので甲状腺腫瘍が大きかったために摘出時にやむなくその神経を傷つけざるを得なかったと推察します。

 そのために片方の声帯の動きが悪くなったと思われますが、声がかすれることはあっても、それだけで急に息が苦しくなることはありません。

 ただ声帯の動きが悪くなったために、唾液などを誤嚥しやすくなり気管を刺激することはあります。食事中や就寝中の異常はそのためだと思われますので、その時にはしばらくゆっくり呼吸をして下さい。

 この声帯の麻痺ですが、神経が傷ついただけならば時間はかかりますが回復する可能性はあります。かかりつけの耳鼻科で根気よく治療されることをお勧めします。