健康なんでも相談室

原因不明の足先痛

回答者:  鳥取県東部医師会員 延原弘明

質問

56歳女性。3年前からタバコを吸うと左足の母趾痛が出るようになり、タバコは止めたものの、昨年8月頃から常時疼くようになりました。複数の医療機関を受診し異常なしといわれ、モルヒネまで服用しましたが痛みがとれず途方に暮れています。

回答

難治性疼痛の検査・診察を

タバコに含まれるニコチンは血管収縮から末梢循環障害を、また一酸化炭素は血管拡張と血管内壁障害を引き起こし動脈硬化を悪化させます。通常は閉塞性動脈硬化症・閉塞性血栓性血管炎・レーノー症候群などの動脈疾患が背景にありますが、そのような基礎疾患がなくとも、前述のタバコによる悪影響で、回復不能な痛みに陥ってしまったようです。複合性局所疼痛症候群など難治性疼痛に陥っていないかどうか検査・診察をお薦めします。

その上で、交感神経ブロック療法や鎮痛薬・鎮痛補助薬の併用を考慮しましょう。激痛の難治性慢性疼痛に対するモルヒネは低用量では効果がないことが多く、天井作用のない利点を活かして至適量を目指して少しづつ増量する服用法が必要です。120mgを越える場合は疼痛専門医の再評価を受けるよう推奨されており、多剤併用のより効果的な薬物療法を目指して行くことが可能です。