健康なんでも相談室

単純型統合失調症って?

回答者:  鳥取県東部医師会員 髙田耕吉

質問

  70歳女性。精神科に1か月半入院し、今は自宅療養中です。「単純型統合失調症」と言われましたが、どんな病気なのでしょうか?

 

 

回答

 進行がゆっくりで目立たない

 

 統合失調症には、妄想型、緊張型、破瓜型、単純型という四つのタイプがあることが知られています。ご質問の「単純型統合失調症」は、漠然とした能率の低下、集中力や持続力の低下、場違いな態度、不適切な感情表出などを特徴としていますが、幻聴(いない人の声が聞こえる)、妄想(現実にはありえないことを確信して訂正ができない)、自我障害(自分らしさの混乱、思考力の混乱)などの統合失調症の陽性症状といわれる典型的な症状がほとんどみられないタイプとされています。


 頻度としては、それ以外のタイプに比較して少なく、症状の進行がゆっくりで目立たないために、「ちょっと風変わりな人」という目でみられ、病気としては長い間見逃されることがあります。生活機能に大きな障害を残すことは比較的少なく、より軽度であれば社会適応をさほど下げずに経過されている方も多いようです。


 他のタイプ同様に、症状安定後も再燃や進行を防止するための薬物療法を続けること、ご本人の生活能力に応じた精神科リハビリテーションを行うことが大切と思われます。過労に留意の上、ご養生を続けてください。