健康なんでも相談室

前足部(第1・2足指間のつけ根)の激痛-モートン病の疑い-

回答者:  西部医師会員 山本 仁

質問

52歳、男性。仕事は安全靴を履いて長時間の立ち仕事です。約3ヶ月前より特に原因がなく右前足部(右第1・2足指間のつけ根)の腫れと歩行時痛が出現。以後徐々に症状は増強し、安静時痛も伴うようになって来た為、病院の整形外科を受診しました。診察の結果、リウマチでもなく、痛風でもない、使い過ぎ、心配ないと言われ、内服薬と湿布薬を投与され様子を見ておりましたが症状は持続し、仕事にも支障を来し難渋しております。私の症状よりどのような病気が考えられますでしょうか、また、このまま放っておいて良くなるものでしょうか。

回答

安全靴を履いての長時間の立ち仕事、前足部の腫れ、歩行時痛と検査結果でのリウマチ・痛風でないと言われたことなどから、モートン病の可能性が高いと考えられます。

モートン病は前足部(中足骨頭間部:足指間のつけ根)の激しい痛みで発症する疾患です。本疾患は40-50歳代の女性に好発し、第3・4足指間に最も多く発症します。また、疼痛は時に足指や足背にまで波及し、症状が強い時には安静時痛も伴います。この本体は絞扼性神経障害であると考えられ、総足底指神経の解剖学的に特異な走行、第3・4足指間領域の神経径の太さ等に由来します。

診断は、前足部を両側より圧迫することにより疼痛を誘発することが出来る等、病歴と臨床所見より可能です。

治療はまず保存的に行われます。靴を取り替える等の生活指導、アーチサポート(足底板)の装着、ステロイドの局所注射等で大多数が軽快します。しかし数ヶ月間の保存的治療が無効の場合には手術的に神経腫の切除が行われることもあります。(手術成績は80%以上が全治と良好)今後、引き続き整形外科での治療を受けられますことをお勧めいたします。