健康なんでも相談室

前立腺肥大症

回答者:  鳥取県東部医師会員 太田匡彦

質問

 50代男性。排尿に時間がかかるため医師に受診したところ、以前より前立腺が肥大しているといわれました。タムスロシンという薬を処方されましたが、排尿困難が続いています。前立腺肥大症は薬物治療で治るものなのでしょうか。

 

 

回答

 泌尿器科専門医受診を

 

 前立腺は男性特有の臓器で、精液の一部を作り、射精に重要な役割をします。正常は、くるみ大サイズで、膀胱の出口から尿道を取り囲むように位置します。前立腺肥大症は男性老化現象の一つで、一般に50歳以上から始まり、80歳代で9割以上の男性に見られるポピュラーな疾患です。前立腺が肥大すると、中の尿道が圧迫され、頻尿や残尿感、尿が出づらいなどの排尿障害が出現します。日常生活に支障がなければ、特に問題はありませんが、排尿障害がでれば、治療が必要です。治療は、症状が軽ければ、まず薬物治療の適応です。前立腺肥大症は癌と違い、良性疾患なので、前立腺肥大そのものを治すのではなく、前立腺部尿道や膀胱の緊張を緩めるというような対象療法薬が中心となります。α1ブロッカーと呼ばれ、タムスロシンなどがそれにあたります。最近では、前立腺を縮小させる5α還元酵素阻害薬とよばれる薬も登場していますが、即効性はなく、前立腺癌を見つけにくい可能性もあるため、注意が必要です。これらの薬物治療で、改善がなければ、手術療法を検討します。尿道から内視鏡を入れ、直接前立腺を切除する内視鏡手術がほとんどで、短期入院で行えます。最近では、レーザーメスで肥大した前立腺を切除する方法が主流です。治療成績も非常に良好で、合併症も少なくなっています。お悩みになられているようなので、泌尿器科専門医へ受診してみてはどうでしょうか。