健康なんでも相談室

冷水摩擦は健康によいか

回答者:  国立療養所西鳥取病院長 北川達也

質問

77歳の男性です。戦前冷水摩擦(乾布摩擦)で健康を取り戻した経験があります。再度これを実行したいのですが、冷水摩擦は健康によい医学的根拠がありますか。

回答

医学的な研究は見当たりませんでした。学童などでは短時間の冷水摩擦や乾布摩擦は皮膚を鍛えることになると考えますが、お年寄りにはどうかというとノーです。若いときよかったからといっても年取ってから始めるのは危険です。個人差がありますが、年を取ると自律神経の働きが悪くなり急な環境の変化に対応できにくくなりますし、高血圧とか心臓病などをもっている人も多くなります。

お年寄りの入浴中の事故が多発していますが、特に脱衣所が寒くて急に血圧が上昇し、熱いお湯に入ると血管が開いて血圧が下がる、そのような急激な変化がよくないと言います。  日本人は風呂好きで、熱めの湯に肩まで浸かる人が多いようですが、水圧で皮膚の表面の血管を圧迫して静脈の還流が増え心臓への負担が大きくなりますので、38℃位の湯でみぞおちの高さまでの半身浴の方が安全と言われています。

最近はシャワー浴を好む人が多くなりました。40℃程度の温湯を出しっ放しにして、湯を浴びながら体を洗います。このシャワー浴でも冬の寒いときに急に始めるのではなく、夏から始めて皮膚をならしていくことです。慣れてくると爽快です。私の体験ではシャワー浴を続けていると皮膚が鍛えられて風邪を引きにくくなるように感じています。冷水摩擦も皮膚を鍛えて寒さに対する抵抗力を増すことが考えられますが、お年寄りにはシャワー浴をお勧めします。