健康なんでも相談室

全身の皮膚が赤くなる病気、紅皮症-ただちに皮膚科の診察を-

回答者:  鳥取大学医学部皮膚科講師 葉狩良孝

質問

93歳、男性。約2カ月前から体中が痒くなりました。体全体が赤くなり小さなブツブツができています。腋の下から腕、股間から足にかけて特にひどくなっています。痒みのためによく眠れない状態が続いています。高齢のため自宅治療を希望しますが、いかがなものでしょうか。

回答

御質問の皮膚の状態は、体全体が赤くなっているということから紅皮症と言われている状態と考えました。紅皮症というのは1つの病名を表すのではなく、全身の皮膚が赤くなる状態を総合して表わす言葉です。そのようなわけで紅皮症といわれる状態の原因にはさまざまなものが含まれてきます。このような原因は、1)湿疹などのすでにかかっている皮膚病が悪化して全身の皮膚におよんでくる場合、2)薬剤などにより薬疹として出てくる場合、3)ある種のできもの(腫瘍)に伴って出現する場合、4)原因不明のもの、などに大きく分けられます。これらの1つ1つにさらに多くの原因が含まれていますので、実際には実に多くの原因が関係してくることになります。御質問の内容からは1)以外のすべてが考えられるようです。

紅皮症というのは全身の皮膚が冒されている状態です。皮膚も体の表面を覆って外敵からの侵入を防いだり、体の中の水分が余分に失われることがないように体を守っている重要な臓器です。この大事な皮膚が広い範囲で冒されているということは、それ自体で重症の状態であることを意味しています。直ちに皮膚科専門医を受診し、適切な診断の元に検査や治療を受けられることをお勧めします。自宅のままで治療ができるかどうかは、それらの結果をふまえて専門医と御相談のうえで決められるのがよいと思います。