健康なんでも相談室

全身のしびれと痛み―早期の治療が大切―

回答者:  東部医師会員 板倉和資

質問

48歳女性。忙しくて病院へ行けませんので相談します。1年位前から右の腕と肘(ひじ)が痛く、曲げ伸ばしをするとき、特に痛みがあります。15年前にヘルニアの手術をしました。寝返りをうっても痛みが走ります。最近は、全身がしびれて、血の気がひくような感じで、痛みを感じます。首、肩にしびれ感があります。気分が悪くなることもあります。

回答

あなたの場合、長期に痛みやしびれが続き、徐々に進行しています。なるべく早く診察を受け、頸椎を中心に精査が必要と思われます。15年前の手術はどこのヘルニアか文面では分かりませんが、例え頸椎であっても、椎間は複数ありますので新たに起こってきます。

考えられる病気として、まず、頸椎椎間板ヘルニアがあります。図のように、頸椎と頸椎の間にある椎間板という円板状の線維輪の中の髄核が、後方に何らかの衝撃で突出または脱出して起こる病気です。とび出した髄核が脊髄や神経根を圧迫して肩こり、頸部痛、上肢痛、しびれ、こわばり、脱力、悪くなると歩行障害もきたします。首を後方にそらしたり、横に曲げたりすると症状が強く出ます。

治療は早期であれば、頸椎の安静、固定、温熱、グリソンけん引などの理学療法や、消炎鎮痛剤、筋肉弛緩剤などの服薬で治りますが、進行すれば手術が必要となります。また、変形性頸椎症も同じような症状をきたします。これは中高年になると頸椎や椎間板が老化して、つぶれたり、椎体の縁に骨棘(とげ)ができて脊髄や神経根を圧迫します。椎骨動脈を圧迫することもあり、この場合は、めまい、耳鳴り、時には失神したりします。

その他、精神的なストレス、頸肩脱症候群、肺がん、心疾患、胆石などの内臓関連痛、脳腫瘍などの頭蓋内疾患等々、頸部には多くの重要な神経や血管が通っていますので、様々な病気を考慮する必要があります。いずれにしても、早く専門医の診察を受けて下さい。進行すれば手術をしても完治しないこともあります。また、腕や肘を曲げたりして痛いのは、頸椎とは別の関節や関節周囲の病気と思われます。