健康なんでも相談室

今から始める禁煙

回答者:  東部医師会員 安陪隆明

質問

52歳男性。17歳の頃よりたばこを吸い始め、現在一日30本ですが、周囲の同僚達が禁煙しはじめ、自分も禁煙すべきかと悩んでいます。  過去2回、1ヶ月ほど禁煙に成功したことがありますが、宴会の際に吸ってしまってから、また元に戻ってしまいました。今から禁煙しても健康は変わらないのではと思ったりもします。やはり禁煙すべきでしょうか。

回答

― ニコチンガム、ニコチンパッチはきちんと説明してもらえる薬局、診療所、病院から-

― 酒の席では吸わないようにする工夫を-

喫煙は多様な健康被害を与えますが、例えば肺癌は一日30本で52歳というお歳でしたら、同年齢の非喫煙者と比べて約5~6倍の危険性になります。そしてここで禁煙できた場合は、最初から吸わない方と同じとまではいきませんが、10年後には1.5~2倍までその危険性を低下させることができます。またその他の疾患の危険性も減らすことができますから、今から禁煙される意義は充分あると思われます。

禁煙を妨げる要因としては、吸わないと不安、焦燥等が生じるニコチン禁断症状としての肉体的依存、そしてニコチン禁断症状が起きなくなっても、口が物寂しくつい手が出るといった精神的依存の2つがあります。ニコチン禁断症状は、最近では薬局からニコチンガム、診療所、病院からニコチンパッチを投与することで抑えられるようになり、比較的容易に乗り切ることができる時代になりました。ただし、これらは使い方にいろいろなノウハウがありますので、そういったことをきちんと説明してもらえる薬局、診療所、病院からの処方をお勧めいたします。

酒の席で「一本なら大丈夫」と思って吸って、また喫煙ということはよくあります。酒の席では、なるべく喫煙者の傍にいかない、「自分が今日喫煙したら○○をする」とペナルティーを前もって宣言する、宴会そのものを前もって禁煙にするようお願いする、といった工夫があります。精神的依存に対しては「一本なら大丈夫」と思わないこと、「ここで吸ったら勿体ない」と思うことが肝心です。