健康なんでも相談室

不完全右脚ブロック

回答者:  鳥取県西部医師会員 面谷博紀

質問

 40歳台女性。日頃、経口避妊薬や安定剤、漢方薬を服用しています。健康診断の心電図で初めて「不完全右脚ブロック」を指摘され、“年1度の経過観察”との判定でした。時々、ウッとするような動悸を感じることもあります。精密検査を受けた方がよいのでしょうか?

 

 

回答

 胸部症状伴う場合は精査を

 

 右脚ブロックは全人口の0.2〜1%程度に見られるよくある心電図所見であり、加齢とともに出現頻度は増加します。心臓に特別な病気がない場合でもしばしば認められるため、健康診断では一般に、経過観察と判定されます。  心臓の中には“洞結節”と呼ばれる発電所があり、そこから電気が”脚(きゃく)“と呼ばれる電線に流れ、心臓全体の組織に伝わり、心臓の筋肉が収縮することで血液を全身に送り出しています。心臓は左右の部屋に分かれており、電線も右と左に分かれます。右脚とは心臓の右側を走る電線で、右脚ブロックとは右脚での電気の流れが悪くなっている状態を意味します。  脚ブロックには完全ブロックと不完全ブロックがあります。不完全ブロックは電線が断線しかかった状態であり、完全ブロックは断線して電気の流れがより悪くなっている状態です。右脚は左脚に比べて長くて細いためにブロックを来たしやすいと言われています。しかし、生まれつきの心臓病や、その他の心疾患、肺疾患のために生じる場合もありますので、初めて右脚ブロッックを指摘され、またご質問者のように胸部症状を伴う場合には、心臓超音波検査や24時間心電図検査などで精査しておくことが望ましいと思われます。普段から薬を服用されている方は、薬の影響で伝導障害を来たすことがありますので、一度主治医あるいは薬剤師に確認した方がよいでしょう。