健康なんでも相談室

不安にともなう胸痛-心臓神経症の可能性-

回答者:  西部医師会員 都田裕之

質問

30歳代、男性。小さいころから、緊張したりストレスを感じると心臓が痛くなることがあります。心臓を針で刺されるかのようです。しばらく我慢すると治まりますが、いつまた痛みがやってくるのではと恐怖感があります。どうしたらよいでしょうか。

回答

繰り返す胸痛発作にはいろいろな原因が考えられますが、小児期から、不安に伴って「チクッチクッ」あるいは「ズキンズキン」と表現される痛みが狭い範囲に出現することから、心因性に交感神経機能が過度に亢進したための心臓神経症が疑われます。

しかし、心臓神経症の診断は除外診断であり、まず、心臓肥大や心臓弁膜症(僧帽弁逸脱[そうぼうべんいつだつ]など)の有無を確認し、次に、心筋虚血や不整脈の可能性を精査する必要があります。診断のために心電図は必須の検査法ですが、症状のあるときに記録することが必要であり、それにはホルター心電図や携帯型発作時心電図が有用です。検査で異常が認められなければ、心臓神経症の可能性が高いと判断されます。薬物治療が必要であれば、自律神経遮断薬や向精神薬の服用がすすめられます。