40歳代女性。食事や会話時に下顎が右にズレます。就寝時にマウスピースを装着しています。今後さらにズレがひどくなりますか?
顎関節疾患の可能性
開口時に下顎が偏位する疾患として顎関節疾患が考えられます。顎関節疾患には顎関節症以外に顎関節の外傷、腫瘍性病変、炎症や発育異常などがあります。この中で一番多い疾患は顎関節症です。
顎関節症の場合、レントゲンで左右の下顎頭の大きさが異なっていたり、左右の関節腔の広さに差がある場合や、顎関節に雑音を認め、関節円板が転位している際は開口時に下顎が偏位します。
しかしながら咬合時(かみ合わせている時)に上下顎の歯が接触しており、成人で4センチ程度口が開き、顎関節や咀嚼筋に疼痛がなければ、下顎が偏位していても治療をする必要は少ないです。咬合時よりも開口時にさらに下顎が偏位する場合、口が開ききっていない可能性があります。開口時に顎に引っかかりを感じ、それが生活に支障をきたすのであればマウスピースの適応となりますが、開口訓練でも改善は可能です。ズレに関しては成長期の子供であれば今後大きくなる可能性があり、成人になった際は顎変形症になる可能性もあります。まずは専門医の診察を受けてみて下さい。