健康なんでも相談室

上肢の痛み

回答者:  鳥取県東部医師会員 村田雅明

質問

70歳男性です。右腕肘関節の内側の血管が浮き出て痛みを感じ、また、右肩の関節にも痛い箇所があり、左の肩も痛い時があります。どのようなことが考えられますか。

回答

肘部管症候群の可能性も

上肢の痛みの原因として考えられるのは、頚椎からの神経根(脊髄の神経の枝)の障害による痛み、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)や肘での腱鞘炎など筋・腱の痛み、肩・肘関節の変形性関節症による関節の痛みなどが考えられます。また肘の内側の痛みということであれば、尺骨神経が圧迫されることによる肘部管症候群の可能性もあります。血管自体は通常痛みの原因になることは少なく、もし血管に問題があれば広い範囲に痛みや腫れが出ます。頚椎からの神経根障害は、頚を動かすことよって肩から指先の方まで響く痛みが特徴で、手のしびれや筋力低下をともなうこともあります。頚椎カラーが効果的で、牽引療法なども有効です。

筋・腱の痛みは基本的に使うことによる痛みで、肘での腱鞘炎は手に力を入れることが多い人に多く、五十肩では夜間痛が特徴です。ストレッチ体操や温熱療法が有効です。変形性関節症の場合は可動域制限や可動時痛を認めます。外用薬や温熱療法などで効果がなければ、整形外科で関節内に注射をしてもらうのがよいと思います。肘部管症候群は手の脱力やしびれをともないます。ひどくなれば手の筋肉が痩せてきます。そのような場合には手術が必要です。