健康なんでも相談室

ワクチン接種が未完了-小児期に基礎免疫を

回答者:  中部医師会員 妹尾磯範

質問

4歳の息子の母です。よく風邪などで体調を崩したり、仕事でなかなか連れて行けず、まだ三種混合ワクチンを完了していません。未接種の場合、どのような問題がありますか。

回答

三種混合ワクチン(DPT)は、ジフテリア・百日咳・破傷風の発病を予防する定期接種ワクチンで、生後3ヵ月~90ヵ月の間にⅠ期初回を3回、Ⅰ期追加1回、計4回接種し免疫をつくります。これが基礎免疫になります。

基礎免疫がなければ、感染時の発病が防げないだけでなく大人になってから再び免疫強化したくても容易ではありません。

戦後の予防接種の普及によって患者数も死亡者数も激減した今日、ともすると予防接種の必要性や有用性を忘れがちになります。しかし百日咳は乳児期には重篤になりやすく、最近では成人百日咳の増加やさらに未接種児への家族内感染も危惧されています。ジフテリアはここ数年患者報告がありませんが、DPT接種率が低下すれば再び増加するでしょう。破傷風菌は、土壌中に広く分布し交通事故や畑仕事等での受傷で感染した報告もあり決して他人事の病気ではありません。

現在使用されているDPTワクチンは改良され副反応も軽減し有効性もすぐれています。子どもさん自身を守るだけでなく周囲への感染防止にもつながります。接種期間内にすませられるよう、かかりつけの小児科医にぜひ相談してみて下さい。