健康なんでも相談室

メニェール病か前庭神経炎か-めまいの検査はまず耳鼻科で-

回答者:  鳥取大学医学部耳鼻咽喉科教室教授 生駒尚秋

質問

67歳 女性。ある朝、突然の激しいめまいで周りが回転し、立っておれず倒れてしまいました。耳鳴りなどはありませんが、吐き気もあり、病院に3日間入院しました。しかし、脳波やMRIにも異常なしといわれ、退院しましたが、歩くと右へ右へと揺れて不安です。メニェール病といわれ、近医で投薬、注射を受けています。どうしてこんなことになるのか、また日常生活で気をつけることを教えて下さい。

回答

メニェール病は突然起こるめまいがくり返します。一度のめまいは数日で治まり、長期間続くことはありません。めまいに伴って片側の難聴、耳鳴り、耳閉感などが変動する特徴があります。ストレスが誘因になり、内耳の水腫ですので、ストレスの回避と食塩の制限を指導しています。

めまいがあると、すぐにメニェール病と診断される傾向があります。メニェール病というためには、内耳の病気であることの確認が必要です。 あなたのめまいは、耳の症状がなく、長期間のめまい・平衡障害が続いていますから、前庭神経炎と推定しています。前庭神経炎はかぜなどに続いて、激しいめまいがありますが、ほとんどの人は2週間から1月で症状がなくなります。めまいがくり返すことはありません。この病気なら、私は頸と目の訓練を勧めています。

内耳の刺激でめまいと目が動くことを外国の耳鼻科の先生が発見されてから、めまいの診断と治療は主として耳鼻科で発達してきました。ご心配なら一度耳鼻医にご相談されるとよいと思います。