健康なんでも相談室

パーキンソン病について

回答者:  独立行政法人国立病院機構西鳥取病院院長 下田光太郎

質問

70歳の女性です。糖尿病と高血圧で治療中でしたが、3年くらい前より、左の脚が小刻みに震えるようになり、左手まで震えるようになりました。パーキンソン病だと云うことでずっとお薬をいただいていますが、3年も薬を飲んで良くなるどころか、いまでは右の脚まで震えるようになりました。何か良い治療法がありましたら教えて下さい。

回答

パーキンソン病と診断されて徐々に病気が進んで来たとのこと、ご心配のこととお察し致します。初めにパーキンソン病について簡単に説明致します。パーキンソン病は脳の中心部にある中脳黒質と云われる場所の神経細胞が徐々に死滅するために震え(振戦)、筋肉がこわばる(筋固縮)、動きが少なくなる(無動)、さらに姿勢のバランスがとりにくくなる(姿勢反射障害)等の症状が出てきます。神経細胞が死滅する理由は良くはわかっていません。中年以降に発病して、年をとればとるだけ罹りやすくなります。病気は半身の震えから発症することが多く、徐々に反対側にも広がります。病気の進行はそれほど早くはありませんが、それでも徐々に進行します。人それぞれ個性があるようにパーキンソン病にも非常に個性があります。また発病した時の症状やそれに対する薬の量や反応は、数年薬を飲み続けた場合と全く違う場合が殆どです。

さて、お手紙の文面から想定するに患者さんはパーキンソン病として典型的な症状と進行具合だと考えられます。脚の震えから始まり、徐々に四肢両則に広がり、おそらく筋の固縮も左に強く、歩行もやや不自由で、動作がサッとできない等の症状も認められる時期だと思います。病気の進行状況としては決して早くはありませんが、やはり徐々に進行しているようです。病状が変化しますので、薬もそれに合わせて変えなければいけません。抗パーキンソン病薬は新しいものが次々発売されていますから、症状に合わせて様々の薬を併用すればある程度症状を押さえ込むことが可能です。

しかし残念ながら今のところ明らかに病気の進行を止める薬はありません。主治医の先生と良く相談されて、自分の症状をよく理解した上で自分の納得のいく治療をして頂けたらと思います。