健康なんでも相談室

ガン細胞に腫瘍マーカー-悪性腫瘍の診断を補助

回答者:  東部医師会員 山家 武

質問

57歳男性です。ガンの診断に腫瘍マーカーが有用だと聞きましたが、腫瘍マーカーとは何でしょう?また、腫瘍マーカーに異常があるとき、必ずガンがあるのでしょうか?

回答

腫瘍細胞では、通常ではみられない物質(癌胎児性蛋白と総称)が産生され、血液中や尿中に検出されます。これらの物質を腫瘍マーカーと称し、これらの物質を測定することにより、悪性腫瘍の診断の補助となります。

腫瘍マーカーは①ある臓器に限って多く産出されるものと②臓器には関係なく産出されるものとの2つに分類されます。臨床的に使用されている腫瘍マーカーは20種類以上ありますが、いくつかの腫瘍マーカーを組み合わせて検査することにより、悪性腫瘍診断の確率がより高くなります。

しかし、喫煙者や高齢者では基準値(正常値)を超えることがあり、異常値即「がん」とはいえません。重要なことは、基準値をどの程度超えた数値なのかで、基準値の2倍の値となれば、悪性腫瘍の存在はほぼ間違いないといわれています。

このように、腫瘍マーカーは、がんの補助的診断以外にも、治療効果の判定、再発の予知として、さらには、がん検診と幅広く用いられおり、今日ではがん診療には欠かせない検査の一つとなっています。