健康なんでも相談室

カゼで臭い鼻汁続く-上顎洞で炎症起こす-

回答者:  鳥取県医師会理事 阿部博章

質問

40歳 女性 少し前にカゼをひいてのどの痛みや咳は治ったのですが、左側の鼻からの臭い鼻汁が続いていて、目の下に痛みがあります。

回答

カゼはウイルスが引き起こす感染症ですが、普通は数日で自然に治ってしまいます。こじれた場合、多くは併発した感染症です。

カゼで起きる急性鼻炎は主に鼻の空気の通り道に面した部分の炎症ですが細菌感染はその回りにある副鼻腔という空洞で細菌が繁殖して起こります。頬骨の中はほとんど空洞となっており副鼻腔の中では最大のものです。上顎洞の鼻の中との交通路(自然口といいます)は空洞が大きい割に小さく高い位置にあることから炎症を起こした時に膿性の鼻汁を出すことができず、空洞の中で細菌感染が持続します。嗅覚というのは慣れが生じやすい感覚でひどい匂いでもしばらく嗅いでいると感じなくなりますが、時々臭い鼻汁が溢れて出て来る場合は臭いと感じます。上顎洞の自然口が閉鎖してしまった場合は治療が困難になります。抗生物質を内服してもなかなか効果がありません。レントゲンを撮ると普通は眼の下の上顎洞は空気が入っているので黒く抜けて見えるのですがここが白くなって空気が無くなっていることが判ります。

治療法としては鼻の穴から上顎洞に針を刺して洞内を洗浄します。これによって一度、自然口を開いて洞内に貯まった膿性の鼻汁を洗い流してあげると途端に楽になります。後は抗生剤の内服で余程鼻の側の空気の通り道(中鼻道といいます)が狭くない限りはきれいに治ります。

また、上顎洞の底は歯根と近接しており、時に歯の炎症から上顎洞に膿が貯まる事もあります。同じ側の上顎に齲歯があったり、治療した歯でも痛みがある場合は歯性上顎洞炎の可能性もあります。