健康なんでも相談室

インフルエンザへの対処-基本は十分な安静と睡眠-

回答者:  小児科部長 平尾正人

質問

35歳 母。小学校3年と5年の娘がいます。最近、小学校5年の長女の同級生のお母さんに聞いたのですが、小児科医院に感冒様の症状でかかり、インフルエンザだと分かると「タミフル」という内服薬を「飲ませますか?」と親に聞かれるそうです。親としてはそのように質問されても困るのですが、どのように対処したらいいでしょうか。

回答

ご質問のように最近インフルエンザに対してタミフルという薬がよく使われます。しかし、タミフルを内服した直後に異常行動が出現し転落死する子どもの報告が最近何例か続きました。タミフルの副作用として精神・神経症状(意識障害、異常行動、せん妄、幻覚など)の記載がありますし、一方インフルエンザの高熱時には訳の分からないことを言ったり行動したりする、いわゆる「熱せん妄」と言われる状態も良く見られます。またインフルエンザ脳症の初期に異常行動が現れやすい事も分かってきました。現在この異常行動がインフルエンザそのものによる症状か、タミフルによる副作用かはまだ結論が出ていませんが、異常行動の報告が続いたことより、インフルエンザの際には異常行動の出現に注意するように、との厚生労働省の通達が出されたところです。一方、タミフルの効果としてインフルエンザの有熱期間を一日程度短縮することが知られていますが、インフルエンザ脳症の発症を予防できるかについては結論が出ていません。またインフルエンザは基礎疾患のない子どもであればタミフルを服用しなくても数日で自然に治ることも事実です。そのあたりのことを踏まえて小児科の先生が「飲ませますか?」と尋ねられたのでしょう。ですから、熱があっても基礎疾患がなく全身状態が悪くなければタミフルの内服はしないで十分な安静、睡眠、水分補給を心がけて経過を見ることも選択肢の一つですし、もし吸入可能な年齢でしたら吸入タイプの薬の使用も考えられますので、かかりつけの先生と相談されたら良いと思います。また異常行動の出現は発熱後一~二日以内がほとんどですので、タミフルの内服の有無にかかわらず病初期の発熱がある間はなるべく子どもを一人にしないなどの注意が必要なことは言うまでもありません。