健康なんでも相談室

くしゃみや咳で尿もれ-自宅で骨盤底筋体操を

回答者:  東部医師会員 中村勇夫

質問

56歳女性。最近、くしゃみや咳をしたときに尿がもれるようになりました。人にも話せず気にしていますが、放置しておいてよいものでしょうか。

回答

くしゃみや咳、重たい物を持ち上げたり運動をしている時などおなかに急に力が加わった時に思わず尿がもれてしまうことを腹圧性尿失禁と言い、女性に多くみられる症状です。この症状は骨盤の底でぼうこうや子宮などの骨盤内臓器を支えている筋肉(骨盤底筋)がゆるみ、尿道をしめる力が弱くなったために起こります。放置しておくと症状がすすみ、オシメが必要になることもあります。

腹圧性尿失禁の治療は、まずゆるんだ骨盤底筋を鍛える訓練(骨盤底筋体操)を行ないます。この体操は、おならをがまんする時やおしっこを途中で止める時にしめる骨盤底の筋肉を、数秒間しめるゆるめるを繰り返すもので、自宅で誰でも簡単にできます。大部分の人はこの体操で尿もれがよくなりますので、一度泌尿器科や産婦人科などの専門医で指導を受けてください。この体操でよくならない場合は、くすりを用いたり手術を行なうこともあります。また肥満や便秘は症状を悪化させる要因となりますので、食事に注意し、規則正しい日常生活をこころがけましょう。