73歳 男性。昨年夏ごろから睡眠中唇が乾き、舌にも違和感をおぼえるようになりました。それが次第につよくなり、このところ朝起床時には舌が上あごにつく位に乾き、日中は焼けつくような違和感があります。また9月初めごろ晩酌の日本酒が苦く感じていましたが、今では一日中口の苦みがあります。晩酌の量は日本酒1合と缶ビール350ml 2缶、たまに増えることもあります。
昨年10月の基本健診ではすべて異常なしとされました。昭和40年右中心性網膜炎となり、現在後遺症で目薬を3種類使用しています。病院は何科を受診すればよいでしょうか。日常の食生活その他についても教えてください。
口が乾く症状を口渇といいますが、その原因にはいろいろなものがあります。加齢とともに唾液腺・口腔粘膜・舌が萎縮して唾液の量が減り、口渇・味覚異常などを来たすことがあります。またいびきは睡眠や飲酒などにより上気道や舌の筋肉が弛緩して気道が狭くなり生じるものですが、鼻呼吸が口呼吸となり口渇の原因となります。飲酒による口渇もあります。アルコールの利尿作用や呼気より一部排泄されるアルコールにより口腔粘膜が刺激されて起こります。高齢者では口渇感が少なくなり、飲水量が減ることも関係しているかもしれません。
糖尿病や甲状腺の病気で口渇を生じることもあります。また唾液腺・涙腺の慢性炎症性疾患で唾液・涙液の分泌量が少なくなり、口や眼の乾燥を来たすシェ―グレン症候群という病気がありますが、ほとんどは40歳前後の女性にみられる病気で男性にはまれです。消化器・循環器・精神神経系の薬が口渇の原因となることもあります。
口の苦みを生じる機序は明らかではありませんが、口腔内の乾燥や胃からの刺激物質の逆流で生じるとされています。1年前の基本健診の結果はすべて正常で、口渇の原因としては加齢に伴う変化と飲酒の習慣などが疑われます。お酒の量が過ぎないようにお気をつけ下さい。使用中の点眼薬については一度かかりつけの先生におたずねください。
治療は原因をとり除くことが一番ですが、加齢に伴う口渇の場合多くは対症療法となり、人工唾液、各種ビタミン、ニコチン酸アミド、塩酸セベメリンなどの薬が用いられます。診察には耳鼻科か内科を受診しご相談ください。