健康なんでも相談室

高いレベルの腰椎椎間板ヘルニア

回答者:  鳥取県立中央病院 整形外科部長 鱸 俊朗

質問

40代の女性、1年前ぎっくり腰になり、入院後、MRI検査で高いレベルの腰椎椎間板ヘルニア(第1腰椎と第2腰椎の間の椎間板から発生した椎間板ヘルニア)と診断され、保存的治療うけるも、左側を中心とした腰臀部痛、大腿部痛が持続し 時には両足部の痛みのあるときもある。その後の検査、治療で症状が悪化、現在は漢方薬、抗うつ剤を服用中。安静にすれば症状がよくなるのか?経済的なこともあり仕事をしたいのですが不安があります。

回答

仕事ができない不安など、お困りであることはご質問の内容からよくわかります。まずご質問の安静についてですが、発症から長期経過しすでに入院、外来通院と比較的安静期間はあった中で症状が慢性化していることから、安静にして症状がよくなる可能性は少ないと考えます。

診断についてですが、一般に高位の腰椎椎間板ヘルニアの症状は、頻度の高い下位レベルの腰椎椎間板ヘルニアより、症状は重く、膝蓋腱反射の低下、鼠径部から大腿にかけての疼痛、知覚低下、および筋力低下が起こり、手術になる症例が多いようです。また症状が股関節の症状と似ており股関節の疾患と鑑別が必要となることがあります。また脱出部位、程度により多彩な症状の発生が考えられ、責任病巣としてひとつの部位だけと決定するには難しい場合があり、診断治療に難渋することが多く、整形外科医の中でも治療方針に違いが出る可能性があります。

セカンドオピニオンのすすめ

そこで、お勧めしたいのがセカンド オピニオン(第二の意見)を聞くということです。私自身、診断 治療法に困り他の専門医に意見を求めることがあります。ましてや情報知識の少ない患者様や家族にとっては、診断および治療法の理解が困難なこと、持続する症状に対して不安を感じられることは当然と考えます。主治医にこの旨を伝え、同じ検査の重複を避けるため今の病院でした検査所見、フイルムなどを持参してほかの病院の先生に意見を求めることも大切なことと考えます。

慢性腰痛と心理的要因

もうひとつ知っておいてほしいことに、慢性の腰痛をお持ちの患者様には何らかの心理的要因が荷重しているという事です。長期間に及ぶ治療、検査を受けても効果が得られない場合、もう治らないとか、仕事に戻れないなどの不安をもったり、自信がなくなることがあり、また医師に対して不信感を持ち抑うつ状態になる傾向があります。こうした場合は整形外科的な治療に加え、精神科的アプローチ、心療内科的治療が必要となることがあります。

いずれにしても今のあなたに必要なことは、十分なインフォームドコンセントをうけ、あなた自身が今の症状の原因を理解し、納得され治療方針について主治医と十分お話になられることが大切であると考えます。