82歳 女性。10年以上前から両耳の難聴があり、耳鼻科を受診しても歳だから治りませんと言われていました。最近、聴こえないのを見るにみかねて、息子がインターネットで補聴器を購入してくれましたが、雑音がひどくかけておれません。耳鼻科を受診して相談すべきかどうか迷っています。どうしたらよいでしょうか。
一般的にお年寄りの難聴は老人性難聴と呼ばれますが、年を取ることの聴覚に対する影響は様々で、かなり高齢になっても聴覚はほとんど衰えない人もあれば早くから難聴が進行する人もあります。
インターネットで補聴器を購入されたとのことですが、ごく軽い難聴の人とか、鼓膜に穴が開いているような伝音性難聴の人ではうまく行くこともあると思いますが、お年寄りで、しかも高度な難聴では難しいと思います。眼鏡の度を合わせてもらうように補聴器もフィッティングといってその人の耳に合うように調節が必要です。補聴器は耳鼻咽喉科を受診してどういった難聴か診断を受けて補聴器認定専門店で購入すべきもので、調節をしなくても使える人はよほど難聴の程度の軽い人だけです。
いわゆる老人性難聴は加齢による変化で音の感覚細胞の毛が抜け落ちたり、音の信号を脳に伝える細胞が減少したりなど回復が難しいものが主たる原因となります。聴覚では眼球のレンズに相当する鼓膜には全くといっていいほど衰えが見られないにもかかわらず、網膜に相当する感覚細胞が壊れていきます。
診断を受けてから10年以上が経過してしまっているということですから、老人性難聴の進行だけではなく、新たな疾患が原因で難聴が進んでいる可能性もないとはいえません。耳垢が詰まったり、鼓膜の奥に液体が溜まったりする難聴もお年寄りに多いものです。幼小児期の中耳炎の後遺症に年齢的な衰えが加わって難聴が明らかになることもあります。
新たに補聴器を購入するかどうかは別として一度耳鼻咽喉科を受診して相談してみましょう。